IoT 見守りデバイスの開発

見守りIoTデバイスは、ウェアフリー生体センサ・シート型圧電センサと開発ボード、電源で構成された。

シート型圧電センサ

本研究では体動がなく静かな状態で得られた生体信号を分析対象とする。センサは敏感すぎて 体動があると、振幅が大大き過ぎになり、それらが検出できなくなる。

図 4.2 センサシートと開発ボード

今回使用したシート型圧電センサの外形寸法(31cm×34cm)により、椅子の座面に敷いた 状態で測定することにした(図 3.2 右側)。座り状態で安定しやすくなり、血圧や脈拍も測 定しやすくなる。本センサでは 得られた信号は呼吸成分や心拍成分でできている。

見守り開発ボード

 

見守り開発ボードにはA/D変換モジュールADS1115、ESP8266マイクロコントローラ内蔵の開発ボードWeMos D1 Miniと、OLED表示モジュール SSD1306が含まれる。

WeMos D1 MiniとはESP8266をメインチップとして、CH340のUSBシリアル変換チップを組み合わせた開発ボードだ。ESP8266マイクロコントローラはWi-Fiネットワークに接続し、簡単なTCP/IP接続を行うことができる。

 

ADS1115は可変ゲインアンプ付き、4チャンネル内蔵の16bit  A/D コンバータ。I2Cというシリアル通信方法で開発ボードに接続する。

 

SSD1306は小型 解像度128×64 OLED ディスプレイである。こちらもI2Cというシリアル通信方法で開発ボードに接続する。

図 4.3 見守りIoTボード

 

UPDとの通信はUPD APIを利用する。データをUPDへ送信と、UPDから見守り開発ボードへの管理コマンド受信に利用されている。送受信データのTAGは、複数の個体を区別するため、マイクロコントローラのMACアドレスの一部を利用する。例えば見守りIoTボードのMACアドレス下6桁は37cb33のマイクロコントローラに対して、ゲインを4に設定する場合は、TAGは gain-37cb33 である。

 

ウェアフリー生体センサからのデータをサンプリング周波 数 100Hz でデータを取得し、A/D変換して保存する。一定期間のデータを収集したら、まとめてUPDへ送信する。データサンプルは付録1を参照。一度にデータの収集できる期間は、見守りデバイスマイクロコントローラの内蔵メモリの容量による。

ESP8266マイクロコントローラの場合、メモリのリミットにより、6 秒間のデータの蓄積、送信できた。プログラムの最適化により、より長い期間のデータの蓄積、送信も可能である。

図 4.4 ケースにいれた見守りIoTボード

 

見守りIoTボードUPDから見守りデバイスへの管理コマンドの受信も可能である。

ADS1115は可変ゲインアンプであり、現在実装したコマンドはそのゲインの設定である。次はADS1115のゲインを指示するコマンドのサンプルである。

 

“VALUE” “gain-37cb33” “4”

われわれ開発した見守りIoTデバイスのプログラムはGitHubのリポジトリを参照する。